ホロコースト・アウシュヴィッツを舞台にした映画

   

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ポーランドのアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所を訪れる前に、予習がてら、ドイツ・ナチスのホロコーストを題材にした映画を3本見ました。海外にいても、日本語字幕版の映画がレンタルできるitunesやAmazonビデオはとても便利ですね。この他にも、ドイツ関連の映画として、オーストリアが舞台の「サウンドオブミュージック」や東ドイツの「善き人のためのソナタ」も見ましたがここでは割愛。

 

シンドラーのリスト

アメリカ映画。映画のほとんどが白黒で描かれる、スティーブン・スピルバーグ監督の力作。笑い要素一切なしのドキュメンタリー形式で、その内容はかなり重いです(そして長いです)。

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戦場のピアニスト

フランス・ドイツ・ポーランド・イギリスの合作映画で、ユダヤ人のピアニストが主人公のストーリー。余談ですが主人公ピアニストは思っていたほどピアノをひきませんでした・・

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ライフイズビューティフル

イタリアの映画(イタリア語: La vita è bella)。前半はラブコメですが、後半では一気に深刻な展開に。収容所に送られた親子が絶望の中で明るく描かれます。

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どの映画でもドイツ軍人がドイツ語を話す場面が必ずあるのですが、ドイツ語(初級)を知っていると、登場人物の心情・人間性がより色濃く伝わり、さらに映画を楽しめると思います。

例えば、戦場のピアニストでは、ドイツ人将校がユダヤ人ピアニストのシュピルマンと別れを告げる時、戦争が終わったらシュピルマンがラジオでの演奏を再開することを聞いて、以下のやりとりをします。

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将校: "Sagen Sie mir Ihren Namen? Ich werde die Ohren offen halten."(訳: 名前を教えてくれないか?必ず放送を聴く)

シュ: "Szpilman." (訳: シュピルマン)

将校: "Szpilman.Guter Name für einen Pianisten." (訳: シュピルマン・・・演奏家らしい名前だ。)

作品中、通常ドイツ人兵士はユダヤ人のことを Du(お前)と蔑んだ呼び方をします。しかし、この将校だけは敬意を払った言い方の Sie (貴方)を使っています。Du も Sie も英語ではYouと訳されるので、日本語の字幕では将校がピアニストに敬意を表する重要なセリフが残念ながらスルーされています。また、将校の言う「演奏家らしい名前」とは、恐らく、ピアニストの名前(シュピルマン)がドイツ語のシュピールマン(spielman、演奏家を意味する)に似ているからだと思います。Spielは演奏するという意味の名詞、manは人です。

 

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これらの映画では作風はかなり違えど、登場するドイツ軍の兵士の描かれ方は共通のガイドラインがあるのかと思うくらい似ています。彼らはいつも規律よく団体行動し、大声で威圧的に話し、ユダヤ人に対して理不尽な振る舞いをします。道端でドイツ兵に銃で打たれたり、車いすの老人がベランダから落とされたりと、目を背けたくなるような残虐なシーンも数多く含まれています。間違っても食事中には見れませんね・・

ナチスが行った前例のない規模のユダヤ人の抹殺。この種のテーマを扱う作品は見る人によって感想が結構変わってくるのではないかと思います。これらの映画を幼い頃に見ていたら、残酷なシーンを見て、もっとシンプルに怖いとか悲しいという気持ちになったと思いますが。

ユダヤ人をはじめとする被害者の壮絶な経験は筆舌に尽くしがたいのですが、その一方でヒーローとなったはずの連合国側の犯罪や被害者側だったイスラエルのガザ侵攻など、程度は違えど似たようなことが立場を変えて現実に起きていることを考えると、鑑賞後にはなんだか複雑な気持ちになります。

とにかく、どれもいい映画なのでおすすめです。

ちゅーす

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