ドイツの研究職の給料を調べてみたら日本以上に学歴社会だった話
(ドイツの首都ベルリン)
日本に帰っていた際、学生にドイツの研究の仕事について話す機会があった。そのときにドイツで研究する人のお給料を調べたので、ついでにブログにも貼っておきます。
情報ソースは研究振興協会(DFG)が発表した大学研究職の給与一覧です。
http://www.dfg.de/formulare/60_12/60_12_en.pdf
ドイツの大学職員の給料ざっくりまとめるとこんな感じ。1€(ユーロ)は135円換算。
分類 | グレード | 月の給与 |
教授 | W | 7675€(104万円) |
グループリーダー | E14-15 | 6300€(85万円) |
博士研究員(ポスドク)3年以上 | E13-14 | 5300€(72万円) |
博士研究員(ポスドク)3年未満 | E13-14 | 4900€(66万円) |
リサーチアシスタント(学部卒) | E9-12 | 4125€ (56万円) |
事務職員 | E2-9 | 3650€ (49万円) |
大学職員には全15ランクのグレード(E2-15とW)があり、役職が高くなるほどその数字が大きくなって、教授になると最高ランクのWとなります。大学で博士(Dr.またはPh.D.)をとった場合、いきなり12ランクを飛び越して13ランク目からスタートします。
このルールでは、超えられない壁がE12とE13の間にあり、その壁を超えるためには博士を取るしかない。ドイツでは30歳を過ぎた博士学生をよく見かけるが、この表を見ると彼らが頑張って博士をとろうとする気持ちがわかる気がします。
ちなみに、ドイツの博士課程の学生は基本的に給与をもらうことができます。その場合は契約によって、「博士研究員(ポスドク)3年未満」の給与の100%が支給されたり、75%支給になったりします。しかも授業料は基本的に無料(あるいは、有料でも日本よりもはるかに安い)というのが特徴です。
これらの給料は一見高く見えるかもしれないが、日本の会社のようにボーナスはないし、このブログ記事にあるように、税金で50%近く引かれることにのでになるので、実際日本の水準とあまり変わらない気がする(またはそれ以下かもしれない)。
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ドイツでは大学の研究職に限らず民間企業でも、博士を持っていることがとても重要です。企業の代表や役員の名前にはDr.が付いていることが多いです。実際、BMWやフォルクスワーゲンの社長は博士卒だが、トヨタやホンダの社長はそうではない。国の代表を見ても、ドイツのメルケル首相は博士(自然科学博士)卒で、安部首相は学部卒です。
試しに自動車会社のBMWを見てみましょう。
BMWでは、役員9人のうち5人(半分以上)が博士持ちです。しかも、左上の取締役会社長は2つの博士号をもっています。
研究開発部門だけでなく、CEOやファイナンス、マーケティング部門のトップも博士号を持っていることも、ドイツでの博士号の重要性を示しているように思われます。
ドイツにおいて博士号ホルダーは社会的にステータスが高い。住民票や電気料金の氏名、マラソンの参加票まで、ほとんどの登録フォームで「博士」と指定できる項目があります。何かトラブルに見舞われた時に、「もしもし、こちらはドクター◯◯です」と電話で最初に告げると、電話先の対応がよくなるというウワサがあり、やっている人を目にしたことがありますが、本当に効果があるかどうかはよくわかりません。
比較的学歴にとらわれない日本と比べてどちらがいいのかは正直よくわかりませんが、ある意味、日本の方が自由競争だし公平な気がします。一方、博士をとった身としては、あまり優遇されないのは悲しくもあるのですが。
ちゅーす